2025-02-17から1日間の記事一覧

小説「真理の微笑 夏美編」

十 「夏美さぁ~ん」 干し物を取り込みに庭先に出てきた夏美に、遠くからマイクが向けられて中年の女性リポーターの声が響いた。 「高瀬隆一さんが生きているかも知れないって知ってましたか」 夏美は答えずに洗濯物を取り込んだ。 居間に入ってテレビを付け…

小説「真理の微笑 夏美編」

九 三月、祐一の終業式も終わり、夏美は庭で洗濯物を干していた。 そこに三十代ぐらいのハーフコートを着た男性がやって来た。 頭をちょこんと下げて名刺を差し出してきた。そこには「フリージャーナリスト 近藤昭夫」と書かれていた。 名刺を受け取ってしま…

小説「真理の微笑 夏美編」

八 夏美は富岡修と紹介されている写真に見入った。見ていくうちに、何故か鳥肌が立った。記事を読んでいくと、富岡修も昨年、七月に自動車事故を起こして数ヶ月入院していた事が書かれていた。ただ、どこで事故を起こしたのか、そしてそれが七月の何日である…

小説「真理の微笑 夏美編」

七 一ヶ月ほどして、また島崎と高橋はやってきた。預かっていた物を返しに来たのだった。段ボールに詰められている中身を一つ一つ確認して預かり書の受領欄にサインをすると、島崎が「何も言わないで帰るのも失礼ですから、事情だけは説明します。先月、奥さ…

小説「真理の微笑 夏美編」

六 十月の上旬だった。夏美の実家に茅野の警察署の刑事が二人訪れた。 二人は、島崎と高橋と警察手帳を見せて名乗った。 島崎の野太い声から、いつか電話で話をした刑事だと夏美にはわかった。 二人を座敷に通すと、挨拶もそこそこに夏美はすぐに「主人は見…