小説「真理の微笑 夏美編」

四-二

『夏美へ

 メールは届いた。これからはこのメールで連絡を取り合おう。    隆一』

『隆一様

 今日は、あなたが好きだったチキンカレーにしました。祐一と二人で食べました。祐一はお代わりをしました。

 あなたがいないのが寂しくてたまりません。会いたいです。  夏美』

『夏美へ

 俺もお前に会いたい。でも、それはできない。   隆一』

『隆一様

 どうして会う事ができないのか、わたしにはわかりません。病院の場所だけでも教えてくれませんか。あなたが怪我をしていると思うと、いてもたってもいられません。どんなに遠くても行きますから、教えてください。  夏美』

『夏美へ

 手紙にも書いたように、病院の場所を教える事はできない。もし、教えられるものならそうしたい。でも、できないんだ。わかって欲しい。俺も夏美に会いたい。それができないのが残念でならない。  隆一』

『隆一様

 今日は、あなたの誕生日ですね。ちゃっんとケーキ買ってきましたよ。いちごのショートケーキです。角のケーキ屋さん、覚えているでしょう、そこで買ってきました。あなたの分もあります。祐一が欲しそうにしていましたが、今日は駄目です。明日、祐一のおやつになるでしょう。

 あなたとケーキが食べたい。わたし、無理なお願い、言っている。

 こうして、パソコンを通してメールを交わせているのに、どうして会えないのか、わからないの。教えてください……。  夏美』

『夏美へ

 そうか、今日が俺の誕生日だったか。すっかり忘れていた。

 会えない理由についても、教えられない。でも、元気にしているから心配しないでくれ。と言っても、病院にいるから元気とは言えないか。  隆一』