2024-04-11から1日間の記事一覧

小説「僕が、剣道ですか? 2」

二十三 「堤邸に行くんですね」 僕が草履を履こうとしたら、きくが後ろからききょうを抱っこしながら、そう言った。 僕はぴくんとした。その通りだったからだ。 「待っててくださいね」 きくも草履を持ってきて、足袋を履き、「わたしも一緒に行きます」と言…

小説「僕が、剣道ですか? 2」

二十二 堤竜之介の武家屋敷への引越しは翌月、早々に行われた。 堤道場には、師範代となった城崎信一郎が住み込むことになった。 「城崎信一郎殿が師範代に決まったことに、他の三人から文句が出ませんでしたか」と僕が堤に訊いたら、「いや、三人ともあの場…

小説「僕が、剣道ですか? 2」

二十一ー2 「入れ替われ」と言う堤の声で、次の班の者との入れ替わりが行われた。 「中園宗二郎、前へ」と堤が言った。 僕が待つ体勢に入ると「始めぃ」と言った。 中園は刀を上段に構えた。その刀はやはり微かに黄色く光っていた。人を怨念で斬ったことが…