2024-03-29から1日間の記事一覧

小説「僕が、剣道ですか? 2」

二ー1 僕は空中に飛び出していた。 しかし、乳母車は抱えていなかった。 凄いスピードで落下していくのが分かった。 躰を反転させた。林が見えた。落下スピードを落とそうとした。しかし、上手くコントロールができなかった。しかし、林に近付くと最初の木…

小説「僕が、剣道ですか? 2」

僕が、剣道ですか? 2 一 休み時間だった。僕が窓の外を見ていたら、急に後ろから富樫がヘッドロック(腕の脇に相手の頭を抱えて締め上げるプロレスの技の一つ)をしてきて、「絵理ちゃんに告ったんだろう」と訊いた。 「ああ」 「返事はどうよ」 「教えな…

小説「僕が、剣道ですか? 1」

三十九 大きく咳をした。 目を開けると僕はベッドの上にいた。 「意識が戻ったわ」と女の声が聞こえた。 「先生を呼んで来なくちゃ」とその声は言った。 間もなく医師が来た。 目を開いて光を当てた。 僕は眩しくて目を閉じようとした。 「じっとしていて」…

小説「僕が、剣道ですか? 1」

三十八 屋敷に戻ると僕はすっかり疲れていた。 風呂に入った時も眠りかけていた。 きくが抱きつき「よく、ご無事でお戻りなされました」と言った。 きくが出してくれた中年の女中に作らせた紺色のトランクスを穿き、着物を着た。 夕餉の席では、佐竹が威勢良…