2024-03-21から1日間の記事一覧

小説「僕が、剣道ですか? 1」

二十五 相手の数は増えてきていた。 「鏡殿」と佐竹が言った。 「ご心配、無用。まだ、数が足りていません」 「そんなことを言っても、もう十人はいますぞ」 「十人は、一人と同じことです。全員を成敗しなければ、この先、やっかいごとは続くでしょう」 「…

小説「僕が、剣道ですか? 1」

二十四 翌日、道場に行くと、どこで知り得たのか、龍音寺の噂で持ちきりだった。 噂話はだいぶ大袈裟になっていた。こういう話は大袈裟に伝わるものなのだろう。 僕がいくら修正しようとしても、余計に悪くなっていった。 午後になって、家老が横手門の前で…

小説「僕が、剣道ですか? 1」

二十三ー2 墓の前に来て、きくは「恐ろしゅうございました」と言った。 そして「あなた様は怖くはないのですか」と訊いた。 「あいつらがか」 僕は笑った。 「どこが怖い。実戦経験もない、へっぴり腰だったじゃないか。この前、討伐した盗賊の方が数倍強か…