2023-08-28から1日間の記事一覧

小説「僕が、剣道ですか? 6」

三十四 その日が来た。 朝早くに目が覚めた。風車も同じだったろう。 昨日に増して、風車は落ち着きがなかった。それは当然だった。 僕も、朝餉を食べたが、何を食べたか覚えてはいなかった。 午前中に使いの者が来るはずだったが、それを待つのが長かった。…

小説「僕が、剣道ですか? 6」

三十三 鈴蘭こと、みねの迎えに行く前日になった。もう準備はおおよそ整っていた。足りない部分は、おいおい揃えていけばいい。 朝から風車は落ち着かなった。 「明日ですよ、明日」と僕が言っても、耳に入らないようだった。 今日は夕方に着物を呉服店に取…

小説「僕が、剣道ですか? 6」

三十二 風車と風呂に入った。 「後、四日ですね」と僕が言った。 「ええ、それでわたしの人生も変わります」と風車が言った。 「いい方に変わりますよ」と僕が言った。 「そう、信じています」 「明日はどうされますか」と訊いた。 「おみねの布団を買おうと…