2023-03-13から1日間の記事一覧

小説「真理の微笑 真理子編」

五十 次の日の朝、介護タクシーを呼んで、真理子は高瀬を社長室まで連れて行くと、高瀬は車椅子から真理子の手を借りなくても自分で椅子に座った。 「俺は大丈夫だから、真理子は介護用の車の方を頼むよ」と言った。 「わかったわ」と真理子は応えると、社長…

小説「真理の微笑 真理子編」

四十九 今日は、会社に出る日だった。介護タクシーを呼んで出社した。 慣れないので、印刷した地図を運転手に見せ、道順を辿りながら会社に行くと、移転した会社は見違えるようだった。 真理子は高瀬を見ていて、朝から落ち着かないようだった。これからこの…

小説「真理の微笑 真理子編」

四十八 夜が明けていた。 昨夜は、何度、抱き合ったことだろう。真理子にも、過去に記憶がないほどだった。 真理子は化粧台に行き、髪をとかした。昨日、化粧台の鏡に映った自分と今の自分を比べてみた。何かが変わったような気がした。それが何かはわからな…