二十二 翌日、風車は早速、吉原に行った。 十両持っているとしたら、明日も帰ってこないだろう。 きくが「風車様はどうされたのでしょう」と訊いたが、僕は答えられなかった。 畑では、キュウリの芽が苗になり、大きくなっていた。添え木を埋め込んだ。それ…

二十一 六日間、風車は吉原から戻ってこなかった。 僕はその間、畑仕事をした。いや、畑仕事らしきことをした。植えたキュウリの種からは、僅かに芽が出ていた。それが順調に育つのかどうかは分からなかった。茄子の苗は育ってきたので、添え木をした。 風車…

二十 夕餉の後、一局碁を打った。二子局だった。しかし、心ここにあらずの風車は惨敗した。 ハンディなしで打ったが、僕が中押し勝ちした。こんな風車と碁をしていても面白くはなかった。 風車は早くに離れに行った。吉原の遊女の記憶に浸ろうとしているかの…