2021-06-17から1日間の記事一覧

小説「真理の微笑 夏美編」

二-2 午前八時半過ぎに電話が鳴った。夏美は洗濯をしていた。電話には母が出たが、すぐ切れたようだった。また電話が鳴り、母が出るとまた切れた。 夏美はもしや高瀬からの電話かも知れないと思って、洗濯の手を止めて居間に行くと、今度は父が電話に出て…

小説「真理の微笑 夏美編」

二-1 二ヶ月と十日ほど経とうとしていた頃だったろうか、午後四時頃に突然、居間の電話が鳴った。 夏美は庭にいて洗濯物を取り込んでいた。 夏美は洗濯物を縁側に置くと、居間に駆け上がり、受話器を取り上げた。高瀬からの電話だと思ったのだ。「もしもし…