2021-05-27から1日間の記事一覧

小説「真理の微笑 真理子編」

四十六 十一月に入ると、真理子は毎朝、高瀬の朝食が終わる午前八時半頃に病室を訪ね、何か必要なものがあるかどうかを訊いた。しかし、本当は病室を出る時にする高瀬とのキスを求めていたのかも知れなかった。 新しい会社に移ってからは、時折、思い出した…

小説「真理の微笑 真理子編」

四十五 真理子が家に着いたのは、午後五時前だった。 早速、洋服店に電話をした。「では、何時に伺えばいいでしょうか」と訊くので、真理子は「午前十一時にお願いできる」と訊いた。「ええ、大丈夫ですよ。では、午前十一時に****病院の****室です…