2024-04-16から1日間の記事一覧

小説「僕が、剣道ですか? 2」

三十一 座敷に戻り、きくに「七百五十二両貰えるそうだよ」と言うと、「へぇー、七百五十二両ですか」と驚いた風もなく聞いた。その後で、「七百五十二両って言いました」と訊き返してきた。 「そう言ったろ」 「七百五十二両で間違いないんですね」 「うん…

小説「僕が、剣道ですか? 2」

三十 次の日、僕は佐野助に山奉行にこのことを伝えるように言った。 僕は念のために村に残った。 湯を沸かしてもらい、昼間、躰を洗った。ついでに洗濯もした。山賊の返り血を浴びて、オーバーやセーター、厚手のシャツやジーパンが血まみれだったからだ。 …

小説「僕が、剣道ですか? 2」

二十九ー2 三度目の指笛が鳴ったのは、次の日の昼頃だった。 今度は大勢だった。颯爽と先頭を切っていた頭領らしき人物を岩の上から、矢で狙い撃ちした。そして、次々に矢を放った。先頭が混乱しているうちに、僕は刀で馬上の盗賊の腹を刺していった。馬は…