2024-02-20から1日間の記事一覧

小説「真理の微笑 真理子編」

五十五 大晦日だった。起きたのは昼を過ぎていた。 昨夜と言うより、朝まで真理子は高瀬に抱かれていた。 高瀬が寝室の電気を消さず「真理子の顔を見ていたい」と言うので、恥ずかしかったがそうした。真理子は目を閉じ、いつか週刊誌に載っていた不鮮明な高…

小説「真理の微笑 真理子編」

五十三 十二月二十八日は忘年会がある日だった。 会社に高瀬を送り届けた後も真理子は会社に残った。朝から会社は騒々しかった。 真理子は車椅子を押して、高瀬と社長室に入った。 「毎年、こうなのか」と高瀬が真理子に訊くので、「知らないわ。朝から来る…

小説「真理の微笑 真理子編」

五十二 午後五時になり、会社に高瀬を迎えに行った時、高瀬は難しい顔をしていた。 車の中でも何か考え事をしているようだった。 家に戻ると、真理子が「あなた、今日は嫌なことでもあったの」と言った。 「車の中でも難しそうな顔をしていたもの」 「ああ、…