2024-01-25から1日間の記事一覧

小説「真理の微笑 真理子編」

十一 真理子が会社に着いたのは、午前十時を過ぎていた。医師の説明が意外と長かったのだ。 滝川がお茶を運んできたので、高木を呼んでくれるように言った。 お茶を一口啜ると、ハンドバッグの中から、メモ帳を取り出した。 まもなく高木がやってきた。机の…

小説「真理の微笑 真理子編」

十 次の日、午前七時に起きた真理子は、朝のシャワーを浴びると、昨日買ってきたパンの残りとレタスのサラダで朝食を済ませた。 午前八時になると、昨日買ったスーツを着て、病院に向かった。 病院に着くと、三階に上がりナースステーションに向かった。そこ…

小説「真理の微笑 真理子編」

九 家に戻り、ハンドバッグから指輪を取り出して、何度も見た。そして自分がしている結婚指輪とも合わせて見た。しかし、何度見ても、どこから見ても、これは富岡がしていた結婚指輪に違いなかった。 ということはICUにいる男は富岡修であると認めないわ…