2024-01-18から1日間の記事一覧

小説「真理の微笑」

七十四 ベッドの中で私はなかなか勃起しなかった。今日の事が頭から離れなかったからだ。 今、私がここにいるという事は、真理子が富岡を殺そうとして果たせなかった事になる。とすれば真理子はどう思っているのだろう。今でも私を富岡だと思っているのだろ…

小説「真理の微笑」

七十三 早く帰ってきた私に真理子は驚いて、「どうしたの」と訊いた。 「少し疲れているんだ」と応えると「それならベッドで休んだら」と言った。 「いや、そうもしていられない。気にかかる事があるんだ」 つい、口に出してしまった。しまったと思った。 「…

小説「真理の微笑」

七十二 一月もトミーワープロの売れ行きは好調だった。社内も正月気分が抜け、春に発売予定されているトミーCDBの発売に向けて、着々と準備が進んでいた。 二月になった。 社長室に入ってすぐに長野から刑事が面会に来ていると秘書室の滝川が伝えてきた。…