2023-08-07から1日間の記事一覧

小説「僕が、剣道ですか? 6」

二 石原のその家は、川から少し離れた所の薄ヶ原の中にぽつんと建っていた。 周りは板塀で囲まれていた。 店の小僧が門の脇の戸の鍵を開け、そして、玄関の鍵を開けた。 広い庭には、薄が入り込んできていた。湯屋があり、開けて見ると五右衛門風呂だった。…

小説「僕が、剣道ですか? 6」

僕が、剣道ですか? 6 麻土 翔 一 日本橋を渡ると、遅い昼餉をとった。 「これからどうします」と風車が言った。 「そうですね。今夜の宿でも探しましょうか」と僕は答えた。 「そうしますか」 きくはききょうをおんぶしていた。それほど遠くまでは行けそう…

小説「僕が、剣道ですか? 5」

四十 道は縦横に走り、そこら中に店が出ていた。 通り過ぎる人も旅姿ではなく、町人が多くなってきた。若い娘は綺麗な着物を着ていた。 風車はそれらの女性に見とれていた。 「私たちも早めに宿をとり、旅の垢を落としましょうよ」と僕が言うと、「いいです…