2023-06-26から1日間の記事一覧

小説「僕が、剣道ですか? 4」

十 目付の木村彪吾は、目付らしい鋭い眼光をしていた。 「今日は息子、虎之助の危ないところをお助け頂きありがとうございます」 「いえいえ、番所の役人も来ていましたから、私がいなくてもなんとかなったでしょう」 「その番所の役人たちも斬られたと息子…

小説「僕が、剣道ですか? 4」

九 番所での書取りには、時間がかかった。 その間にお茶が出されただけだった。きくはききょうにミルクを飲ませた。 しばらくして、番所に先程姿を消した若侍が入ってきた。 彼は僕に「危ないところをお助け頂きありがとうございました」と言った。そして、…

小説「僕が、剣道ですか? 4」

八 夕暮れまで大山道を歩き、高杉宿に着いた。道行く人に次の宿場まで三里ほどあると聞き、ここで宿をとることにした。 通りがかりの人にどこの宿屋がいいか訊くと、皆、若松屋だと答えたので、若松屋に泊まることにした。 赤ん坊がいるので、隅の個室がいい…