2023-02-15から1日間の記事一覧

小説「真理の微笑 真理子編」

十五 会社には午後一時に着いた。 社長室に入ると、高木を呼んだ。 午前中に出社できなかったことを詫びた。 「そんなことをお気にされなくても」と高木は言った。 「わたしがいなくても何とかやっていけるってことよね」と真理子が言うと、高木は何も言えな…

小説「真理の微笑 真理子編」

十四 金曜日に病院に行くと、整形外科医から説明があると言うので、ナースステーションから少し離れた会議室のような所に案内された。 中で待っていると、数人の医師たちが順番に入ってきて、真理子の前の席に座った。それから、何種類かの書類が真理子に手…

小説「真理の微笑 真理子編」

十三 家に戻ると、真理子はようやく解放された気分になった。 TS-Wordについては、製作数を六千ロットからいきなり一万ロットにしたが、あれは言ってみれば勢いのなせる技だった。何か考えがあるわけでもなかった。自分で決定できる位置にいたときに、何かし…