2023-01-20から1日間の記事一覧

小説「真理の微笑」

五十四 会社に行く日になった。会社移転してすっかり真新しくなった会社にだった。朝から落ち着かなかった。それは当然だった。未知の領域に足を踏み込むのだから。 「大丈夫よ、わたしがついているから」 真理子は頼もしかった。 「そうだな」 介護タクシー…

小説「真理の微笑」

五十三 朝になっていた。眠剤を飲まないでも昨夜は眠れた。 あれからどれほど真理子を抱いただろう。 真理子は化粧台にいて、髪をとかしていた。私が起きた事に気付くと「おはよう」と言った。私も「おはよう」と返した。 「昨日のあなたは凄かったわね」 私…

小説「真理の微笑」

五十二 夕食は出前で寿司を頼んだ。病院では食べられなかったからだ。 大トロも美味しかったが、ウニやいくらもうまかった。これでお酒でも飲めたら最高だったが、肝臓の数値が悪いので、医者からはきつく禁酒を言い渡されていた。 夕食の後は、風呂に入った…