2022-06-20から1日間の記事一覧

小説「僕が、剣道ですか? 7」

三十五 部活には、週に一度顔を出し、五対一の対戦だけをすることにした。部員たちがそれを望んでいることが、富樫の話から分かったからだ。監督も了解してくれた。 部員たちは、五対一で戦うのだから、何としてでも僕から一本取りたいと思っていた。そこで…

小説「僕が、剣道ですか? 7」

三十四 母は、その後も、僕やきくやききょう、京一郎の将来のことを話した。伝えたいことをこの際だから、一切伝えておこうとしたのだろう。 そして最後に「それは京介、あなたが決めることよ」と言い切った。それで話は終わった。 僕は母がこれだけ考えてい…

小説「僕が、剣道ですか? 7」

三十三 僕はテーブルについた。きくはコーヒーと自分のお茶を入れにキッチンに向かった。 母は顔を上げて、僕を見た。 いつもの母だった。 きくがコーヒーを母と僕の前に置き、自分のところにはお茶を置いた。きくは僕の隣に座った。 母はコーヒーに口をつけ…