2022-04-12から1日間の記事一覧

小説「僕が、剣道ですか? 6」

六 次の日の朝は大変だった。釜でお米を炊いたまでは良かったのだが、水加減がいまいちで少し緩めのご飯になった。そして、何よりも困ったのは、茶碗は買ってきていたのだが、箸を買うのを忘れたことだった。 仕方なく、僕が薪を折たたみナイフで切り、割り…

小説「僕が、剣道ですか? 6」

五 布団に入ると、ふわふわとしていた。宿の布団は皆、煎餅布団のようなもので背中がゴツゴツとしていた。それに比べれば大した違いだった。 ききょうを真ん中にして寝た。行灯の火を消してから、布団に入ってきたきくの手を僕は握った。きくは鼻を啜ってい…