2022-04-08から1日間の記事一覧

小説「僕が、剣道ですか? 6」

三 次の日、朝餉をとると、きくはもう出かける準備を始めていた。一刻も早く、新しい家を見たかったのだ。 荷造りが終わると、宿代を払い、宿を出た。風車には、大きな風呂敷包みを背負ってもらった。僕は風呂敷を被せた千両箱が入っているショルダーバッグ…

小説「僕が、剣道ですか? 6」

二 石原のその家は、川から少し離れた所の薄ヶ原の中にぽつんと建っていた。 周りは板塀で囲まれていた。 店の小僧が門の脇の戸の鍵を開け、そして、玄関の鍵を開けた。 広い庭には、薄が入り込んできていた。湯屋があり、開けて見ると五右衛門風呂だった。…