2021-10-21から1日間の記事一覧

小説「僕が、剣道ですか? 2」

二十二-1 堤竜之介の武家屋敷への引越しは翌月、早々に行われた。 堤道場には、師範代となった城崎信一郎が住み込むことになった。「城崎信一郎殿が師範代に決まったことに、他の三人から文句が出ませんでしたか」と僕が堤に訊いたら、「いや、三人ともあ…

小説「僕が、剣道ですか? 2」

二十一-2 僕と堤とたえは桟敷に向かった。それでも、道場の歓声は止まなかった。 桟敷に座ると、堤は「これで都合五度、真剣白刃取りを見ましたが、何度見ても凄い」と言った。 たえは「わたしは初めてでしたから肝が潰れる思いでした」と言った。「で、ど…