2021-07-15から1日間の記事一覧

小説「真理の微笑 夏美編」

二十五 三月の面会時にも祐一を連れて行くと、高瀬は喜んだ。 高瀬と祐一だけで話しているうちに時間が来た。 夏美は二人に置いて行かれる気がした。 面会を終えて刑務所を出てくると、その高い塀を見て、「ここにお父さんは収監されているんだ」と、今更の…

小説「真理の微笑 夏美編」

二十四 夏美は毎日、ホームヘルパーの講習に通った。 そして一ヶ月後に修了証書を手にした。 夏美は、その修了証書を持って、十二月の高瀬との面会に臨んだ。 高瀬は面会室に入ってくると、「元気だったか」と訊いた。「元気よ」と夏美は答えた。そして、「…