2021-06-11から1日間の記事一覧

小説「真理の微笑 真理子編」

五十九 二月になった。 真理子のお腹の子どもは順調に育っていた。 ある日、介護タクシーで早く帰ってきた高瀬に真理子は驚いて、「どうしたの」と訊いた。「少し疲れているんだ」と高瀬が応えると「それならベッドで休んだら」と真理子は言った。「いや、そ…

小説「真理の微笑 真理子編」

五十八 真理子は高瀬を会社に送り届けると、そのまま区役所に向かった。母子手帳をもらうためだった。 真理子は母子手帳をもらうと、早く高瀬に見せたくて会社に行った。 しかし、社長室には高瀬はいなかった。高木が来て「新年会の御礼もあり、お得意様回り…