2024-04-19から1日間の記事一覧

小説「僕が、剣道ですか? 2」

三十九ー1 次の日、堤邸に行った。 たえが門の掃き掃除をしていた。 「今日、鏡様が来られるような気がしていました。お躰の疲れはとれましたか」 「ええ、このとおり」 そう言うと、僕の手を取って指を絡ませてきた。 玄関から座敷に上がると、堤竜之介が…

小説「僕が、剣道ですか? 2」

三十八 帰りも湯沢屋で一泊した。 「あーあ、いい湯だ」 中島と近藤は上機嫌だった。大任を果たした安堵感が滲み出ていた。 僕はひたすら疲れを癒やしていた。 風呂から上がり、夕餉を食べると、布団が敷かれる前に僕は眠ってしまった。それだけ疲れていたの…

小説「僕が、剣道ですか? 2」

三十七ー2 試合場に出ると、氷室隆太郎は「鏡殿、おぬし本気か」と尋ねられた。 「真剣でやるということだ」 「本気ですが」 「真剣でなかったから、二天一流は本差と脇差を使ったが、私の二天一流は真剣なら両方とも本差を使うが、いいのだね」 「どっちで…