2024-03-25から1日間の記事一覧

小説「僕が、剣道ですか? 1」

三十一 六曜に一度の、相川と佐々木の稽古も、一と十五の日の堤道場を訪れるのも変わりなく、冬を迎え、中頃になってきた。十一月には、選抜試験があるというので、道場の門弟も気合いが入っていたし、一と十五の日に訪れる堤道場の稽古の気合いの声も荒々し…

小説「僕が、剣道ですか? 1」

三十 僕は、慣れない筆と紙で、状況を整理してみた。 今の藩主は病弱だが、側女に二歳になったばかりの男子がいる。しかし、二歳の男子では藩政は司れないから、それをやるのは、後ろ盾になっている側用人と大目付に四人の目付だ。それに対して、藩主の次男…

小説「僕が、剣道ですか? 1」

二十九 城から屋敷まで付けてくる者がいた。襲ってくる気配はなかったので、放っておいた。 風呂に入り、夕餉の時に島田源太郎や佐竹に今日の詮議について、話して聞かせた。 「大目付がそんなことを言っておったか」 「城内にいる御家老の身が心配です。島…