2024-01-15から1日間の記事一覧

小説「真理の微笑」

六十二 十二月二十八日は朝から会社は騒々しかった。夜には忘年会があるし、年明け早々に新年会がある。その新年会に向けての準備にも余念がなかった。 私が「仕事納めなんだから、ちゃんと気を引き締めてやれよ」と言っても効き目はなかったようだ。 真理子…

小説「真理の微笑」

六十 十二月二十七日になった。今日は、ハウスクリーニングがある日だった。 十一時半に介護タクシーを呼んで、由香里のアパートに行った。 由香里の部屋は一階だった。電話で二階と聞いたら、どこかレストランで会う事にしようと思っていた。由香里はお腹が…

小説「真理の微笑」

五十九 次の日、会社に出ると、まだ前日のパーティの雰囲気が抜けないのか、全体的に浮かれたような感じだった。酒が抜け切れていない社員もいた。 だが、私は何も言わず、社長室に入った。お茶を秘書室の滝川節子が出してくれた。 「新しい場所に会社が移っ…