2023-12-26から1日間の記事一覧

小説「真理の微笑」

三十六 私は午前六時頃には目が覚めた。サイドテーブルに封筒が載っているのを見て、慌ててパソコン雑誌の間に挟んでテーブルの引出しにしまった。病院の窓口が開くのは午前九時だから、それまでは真理子に見つけられるわけにはいかなかった。真理子は朝食時…

小説「真理の微笑」

三十五 月曜日になった。 真理子が朝食後に顔を出し、午前九時前に会社に向かった。 午前中に、電気店から待望のラップトップパソコンなどが届いた。私は早速、業者に使えるように設置してもらった。壁の電話線の差し込み口から電話線をモデムの電話線の差し…

小説「真理の微笑」

三十四 真理子が買ってきてくれたアイスクリームはとても甘かった。しかし、それより真理子とのキスの方が遥かに甘かった。 「事故を起こしてからのあなたは変わったわね」 「そうか」 「キスがうまくなったもの」 「俺は変わっていないつもりだけど、もしそ…