2023-08-22から1日間の記事一覧

小説「僕が、剣道ですか? 6」

二十五 朝餉を済ませると、身支度をした。 余所行きの着物を着た。こんなときに着るとは、思わなかった。 奥座敷に行き、床の間から定国を手にすると、本差と脇差を帯に差した。 玄関の土間に行くと、上がり口から、草履を履いた。 きくが「ご武運を」と言っ…

小説「僕が、剣道ですか? 6」

二十四 離れから、きくが離れたところで時を止めた。 奥座敷に行き、あやめを呼んだ。 「風車様のことですよね」とあやめは言った。 「そうだ。うなされているようだが、何を思い浮かべているのか、あやめには分かるか」と訊いた。 「行ってみなければわかり…

小説「僕が、剣道ですか? 6」

二十三 次の日も風車は帰ってこなかった。 その翌日、朝餉の後に両国に向かった。約束したおむつを取りに行くためだった。代金を払って、おむつを受け取ると大きな風呂敷、二つに包んでくれた。大きな方を背負って、もう一つはぶら下げて店を出た。 その後で…