2023-08-15から1日間の記事一覧

小説「僕が、剣道ですか? 6」

十六 風呂に入る時間まで、僕は眠っていた。 きくから渡された浴衣を見た。御札は貼ってなかった。きくはもう幽霊は切られたものだと信じ切っていたようだった。 風呂場では、風車は機嫌が良かった。躰を洗いながら、故郷の歌を歌っていた。 「故郷はどこで…

小説「僕が、剣道ですか? 6」

十五 昼餉にききょうのお粥を作っているつもりだった。そのお粥に卵を落として、ききょうの分を取り分けた後で、醤油で味付けしたら美味しかったので、僕も食べた。ききょうも取り分けた分は沢山食べた。少しだけ、僕の分も混ぜて食べさせた。 昼餉をとらせ…

小説「僕が、剣道ですか? 6」

十四 「京介様」と呼ぶ声がした。きくだった。 「朝餉ですよ」と言った。 「今日はいらない。もう少し、眠らせてくれ」と言った。 「わかりました」 きくは襖を開けて居間に入って行った。 「どうでした」と言う風車の声が聞こえてきた。きくの声が聞こえて…