2023-08-02から1日間の記事一覧

小説「僕が、剣道ですか? 5」

三十六 よく眠った。朝、起きた時の気持ちが良かった。 風車も起きていて、廊下に出ると朝の挨拶をした。 「今日もいい日ですな」と風車が言うと、僕も「まことに」と応じた。 顔を洗って戻ると、朝餉の用意がしてあった。 おかずは、煮魚に卵焼きだった。そ…

小説「僕が、剣道ですか? 5」

三十五 小競り合いをしていても、キリがなかった。 もう一度、攻めてみようと思った。 僕は飛び出すと相手に向かって走って行った。 突然、走り寄られて、相手は警戒していた。当然、技を使ってくるものと思っただろう。僕は、今度は信三郎の間合いに入って…

小説「僕が、剣道ですか? 5」

三十四 根来兄弟との差が縮まってくるにつれて、定国の唸りが大きくなった。 「頼むぞ、定国」と僕は言った。 根来信一郎の時は、定国に助けられたようなものだった。 二人から、七、八メートルほど離れた所で、僕は止まった。 「鏡京介か」と一人が訊いた。…