2023-07-18から1日間の記事一覧

小説「僕が、剣道ですか? 5」

十二 朝餉の席で、風車と一緒に食べている時に、風車はきくを見て、「えっ、鏡京介殿の奥方ではないのですか」と味噌汁の椀を持ちながら驚いていた。 「そうですよ、わたしは鏡様の妻ではありません」ときくは言った。 「拙者はてっきりご夫婦かと思っていま…

小説「僕が、剣道ですか? 5」

十一 つづら折になっている街道に出た。その角を曲がると、前方に十人ほどの侍が待っていた。 定国が唸った。敵だった。林の中から手裏剣が飛んできた。僕は定国を素早く抜いてそれらを弾き返すと、手裏剣が投げられてきた林の中に入っていった。それと同時…

小説「僕が、剣道ですか? 5」

十 今日は湖畔を回るように街道を通り、湖を見ながらの旅だった。温泉宿が街道沿いに続いていた。 昼は蕎麦を食べた。 明日は、湖とも別れるから、今夜は湖畔の宿を取った。 湖の見える部屋は個室にすると高かった。ここでも一人一泊二食付きで六百文かかっ…