2023-06-27から1日間の記事一覧

小説「僕が、剣道ですか? 4」

十三 しばらくすると、木村彪吾が城から馬で屋敷に帰ってきた。 戌の刻までには、二時間ほどあった。稲荷神社がどこにあるかは知らないが、さほどの猶予はなかった。 木村彪吾が客室にやってきた。 「息子がさらわれ申した。鏡殿なら、どうなされるか」と訊…

小説「僕が、剣道ですか? 4」

十二 朝餉の時に、僕は木村彪吾に「鷹岡藩は初めて来た所なので、何か珍しい所とか物があれば、行って見たいものですが」と訊いた。 「当藩で有名なのは、こけしです。こけしの店は随分あるから見られるといいでしょう」と答えた。 「お寺はどうでしょう」 …

小説「僕が、剣道ですか? 4」

十一 昼餉の後、もう一度風呂敷を包み直して針を刺しておいた。 そして、きくとききょうを連れて、町に出かけた。 午前中は虎之助が一緒だったので、何となくリラックスして見ることができなかった。午後はゆったりと見て回ることができた。 甘味処で、汁粉…