2023-06-16から1日間の記事一覧

小説「僕が、剣道ですか? 3」

三十八 一月十二日の放課後、担任の梶川祐子に呼ばれた。中年の女の教師だった。 「黒金高校と揉めているという話を聞いているんだけれど、本当」 僕は「揉めているというより、因縁を付けられていました」と言った。 「それでどうしたの」 「逃げました」 …

小説「僕が、剣道ですか? 3」

三十七 家に帰り着いた僕はリュックのようになったオーバーコートとショルダーバッグを持って自分の部屋に上っていった。部屋に入り、オーバーコートとショルダーバッグをそこらあたりに置くと、ベッドに倒れ込んだ。そして、そのまま眠った。 「ご飯ですよ…

小説「僕が、剣道ですか? 3」

三十六 工場を覗くと、屈強な男たちが少なくとも三十人以上いた。竜崎雄一は、工場の奥にいるか、事務所の中にいるのだろう。 とにかく姿は見えなかった。 僕は見える範囲の男たちの腕でも足でもいいから、クロスボウで矢を放った。十人は命中したが、こちら…