2023-04-07から1日間の記事一覧

小説「僕が、剣道ですか? 1」

五 僕は全身、血しぶきを浴びていた。盗賊たちがいなくなると持っていた刀を放り捨てた。 籠の戸が開き、「重ね重ね、ありがとうございました」と中の女性が礼を言った。 戸が閉まると、籠は持ち上げられ、動き出した。 僕は「あそこに倒れている仲間はどう…

小説「僕が、剣道ですか? 1」

四 籠に近寄ると、「私の屋敷まで来ていただけませんか」と中の女性が言った。 僕は考えた。この身なりだ。江戸時代のどこかなのだろうが、まるで分からない。 このままでは、どうにもならない。 「お言葉に甘えさせていただきます」と答えた。武士の言葉とは…

小説「僕が、剣道ですか? 1」

三 僕が落ちたのは、白樺の林の中で、すぐ下の方から怒声が聞こえていた。 誰かの籠を盗賊が囲んでいる感じだった。 付き添いの者は女中二人、侍四人いたのだが、腰が引けていて全く役に立ちそうになかった。籠の中にいるのは女性だろう。 盗賊は八人。勝ち…