2023-02-07から1日間の記事一覧

小説「真理の微笑 真理子編」

三 ホテルの部屋に入ると、病院に電話をして部屋番号を伝えた。これで富岡に何かがあれば連絡が来るだろう。 疲れがどっと押し寄せてきた。このままベッドに倒れ込みたくなったが、そうすれば起き上がることは難しそうだった。 着替えなどを詰めてきた旅行鞄…

小説「真理の微笑 真理子編」

二 「じゃあ、行ってくる」 富岡はいつものように片手を振り、車を出した。これから蓼科の別荘に向かうのだ。 「あなた、気をつけて」 真理子の声は上ずっていた。 もうこれで運命は変えられない。 走り出した車を見送って真理子は思った、これでいいんだわ…