2022-12-21から1日間の記事一覧

小説「真理の微笑」

二十八 真理子は苛立っていた。 話を聞いていくうちに、会社で浮き上がっている真理子が想像できた。 真理子は取締役の一人に名前を連ねているが、形式的なものに過ぎなかった。それが私が入院しているので、私の代理になろうとしたのだ。 しかし、会社組織…

小説「真理の微笑」

二十七 ベッドサイドのテーブルから富岡の手帳を取り、カバーを見た。裏側には名刺を挟めるような切り込みが七段あった。しかし、そこにはクラブやバーの名刺は一枚も挟まれていなかった。 表の方には、会員制のクラブのカードが何枚か挟まれていた。ゴルフ…