2022-12-19から1日間の記事一覧

小説「真理の微笑」

二十六ー2 しばらくして、医者と看護師がやってきた。医者が私の胸に聴診器を当てた。やがて聴診器を首にぶら下げて「心配いりません。胸の音は綺麗です」と言った。 「そうですか。ご心配をおかけしました」と言うと、「いいんですよ。気になったらいつで…

小説「真理の微笑」

二十六ー1 眠りの中で、億万長者になった夢を見ていた。祐一が広い家の芝生で遊び、その側に夏美がいた。夢の中では祐一は四、五歳ぐらいだったろうか。夏美は大学生の時のような若さだった。白いブラウスに白いスカートを着ていた。 夏の穏やかな日だった……

小説「真理の微笑」

二十五 刑事の事は気になったが、気にかけても仕方なかった。 しかし、すっかり忘れていた事だったが、茅野の駐車場に自分の車を止めていたというのは、あまり上手くはなかったと思った。もし、事故が起こらなくて、富岡が失踪したという事になったとしても…