2022-04-22から1日間の記事一覧

小説「僕が、剣道ですか? 6」

十七 昼餉が済むと、明らかに風車はそわそわしていた。「どうしたのかしら、風車殿はあまり食べませんでしたね」ときくが言った。いつもなら、大盛りのご飯をお代わりするのに、今日は普通に盛ってもらうように言い、お代わりをすることはなかった。 吉原の…

小説「僕が、剣道ですか? 6」

十六 風呂に入る時間まで、僕は眠っていた。 きくから渡された浴衣を見た。御札は貼ってなかった。きくはもう幽霊は切れられたものだと信じ切っていたようだった。 風呂場では、風車は機嫌が良かった。躰を洗いながら、故郷の歌を歌っていた。「故郷はどこで…