2021-03-25から1日間の記事一覧

小説「真理の微笑」

六十七 新年会は午前十時に始まる。 私と真理子はその一時間前にホテルの控え室に入った。控え室の中はごった返したようだった。出し物をするグループが隅の方で、最後のチェックを行っていた。 広報の中山がやってきて、「今日は一生懸命、司会を務めさせて…

小説「真理の微笑」

六十六 真理子に送られて会社に入ると、新年会の準備で騒々しかった。何人かと挨拶を交わして社長室に入った。秘書室の滝川が「会社に届いている年賀状です」と言って持ってきた。ほとんどが出版社や会社関係からだった。 私は受話器を取ると由香里に電話し…