2024-04-03から1日間の記事一覧

小説「僕が、剣道ですか? 2」

十 屋敷の通りには、屋台が何台か並んでいた。 そこで侍が蕎麦を食べたり、おでんをつまんで酒を飲んでいたりした。 そこを通り過ぎ、少し行くと、暗い通りが続いていた。 「いませんね」と八兵衛が言った。 その時だった。遠くから「辻斬りだ」と言う声が聞…

小説「僕が、剣道ですか? 2」

九 道場に出た。 相川たちが寄ってきた。 「もう一度、お願いします」 そう言って頭を下げた。 僕は門弟を壁際に寄せて「見ておくように」と言うと、昨日して見せた素振りを相川たちにさせた。 今度は一歩、前に出るように言った。そして後ろから、手首のあ…

小説「僕が、剣道ですか? 2」

八 二日後に鍛冶屋、源蔵の所に刀を取りに行った。 「これで妖刀は切れる。しかし、おぬしの持つこの刀もその妖気を吸うことになるぞ」 「そうなるとどうなります」 源蔵は僕の顔をじっと見た。 「普通は刀に囚われる。しかし、おぬしはそうはならぬようじゃ…