2023-05-09から1日間の記事一覧

小説「僕が、剣道ですか? 2」

七 家老家の菩提寺の住職に妖刀の話をした。 「それはやっかいな話ですな」 「と言うと」 「妖気がその刀を持っている者を守っているのでしょう。とすれば、その妖気を断ち切らなければならない」 「そうですね」 「鏡殿にそれができますか」 僕は首を左右に…

小説「僕が、剣道ですか? 2」

六 家老屋敷の道場は、朝から稽古の声が聞こえていた。 型練習を始めてから、その型を覚えようと皆、必死だった。役に立たない英語のアクセント問題をやっているようなものだが、何もしないより、やっている感じはあるので、それなりに充実しているのだろう…

小説「僕が、剣道ですか? 2」

五 三晩連続で辻斬りが出た。複数の侍がいても平気なようで、むしろ多いほど辻斬りを楽しんでいるようだと言われているくらいだった。三晩に十人もの人が斬られているのだから、城中でも話題になっていて、家老は夕餉の席で、「町奉行の田島権左衛門に、鏡殿…