2023-04-21から1日間の記事一覧

小説「僕が、剣道ですか? 1」

二十四 翌日、道場に行くと、どこで知り得たのか、龍音寺の噂で持ちきりだった。 噂話はだいぶ大袈裟になっていた。こういう話は大袈裟に伝わるものなのだろう。 僕がいくら修正しようとしても、余計に悪くなっていった。 午後になって、家老が横手門の前で…

小説「僕が、剣道ですか? 1」

二十三 朝餉の後は、家老はすぐに城に戻っていった。 僕は島田源太郎に、きくを連れて町に出てもいいか、尋ねた。 「昨日の父の話を気にしているのか」と訊かれた。 「そういう訳ではありません」と答えたが、家老の嫡男だけあって、なかなか鋭いなと思った…