2023-02-20から1日間の記事一覧

小説「真理の微笑 真理子編」

二十二 真理子は、午後一時になると、須藤のところに電話した。 真理子の提示した二百万円という数字は、当然予想していたよりもかなり低かったのだろう。しばらく沈黙が続いた。その沈黙の中には、怒りもあっただろう。 やがて須藤が「条件があるが聞いても…

小説「真理の微笑 真理子編」

二十一 手術の翌日、午前九時に社長室に入ると、滝川がお茶を運んできて、「手術はどうでしたか」と訊いた。 「上手くいったわ」と答えた。 「それはよろしかったですね」 「心配してくださっていたのね」 「それは、もちろんです」 真理子が「ありがとう」…