2023-02-10から1日間の記事一覧

小説「真理の微笑 真理子編」

九 家に戻り、ハンドバッグから指輪を取り出して、何度も見た。そして自分がしている結婚指輪とも合わせて見た。しかし、何度見ても、どこから見ても、これは富岡がしていた結婚指輪に違いなかった。 ということはICUにいる男は富岡修であると認めないわ…

小説「真理の微笑 真理子編」

八 シャワーを浴びて、ベッドに横たわった。サイドテーブルのバッグを開けて、中から富岡の手帳を取り出した。 広げてみた。七月の二週目までは、午後五時過ぎのイニシャルがついていた。由香里と会うのは、三日前だったようだが、その時は富岡はベッドの上…