2021-07-30から1日間の記事一覧

小説「僕が、剣道ですか? 1」

十三「先生」と看護師が言った。「どうした」「血圧がどんどん低下しています」「何」 医師は聴診器を僕の胸に当てた。そして「血液、採取」と叫んだ。 看護師は血液を採取する道具を取りに病室から出て行った。 その間に医師が「面会人は病室から出て行って…

小説「僕が、剣道ですか? 1」

十二 あの老人の言うように躰を動かすことができなくなったわけではなかったが、動きが緩慢になったのは事実だった。何としても催眠術を解かなくてはならなかった。 このままでは戦えなかった。 僕は、とにかく身を隠す場所を探した。 庖厨に出たので、その…

小説「僕が、剣道ですか? 1」

十一 荒れ寺が遠くに見えてきた。 先発隊が偵察に行ってきたところ、連中は起きてきたばかりのようで、全員かどうかは分からないが、ほとんどの者が寺の中にいるらしいということだった。 ここからは静かに近寄っていかなければならなかった。 もう少し近寄…