2020-12-20から1日間の記事一覧

小説「真理の微笑」

七 あの猛暑の続く夏の日、私は蓼科にある富岡の別荘に向かっていた。数キロ歩き、汗だくだった。山の端に日が微かに残り、西の空の雲を紅く染めていた。 ………… その二ヶ月前の事だった。街で偶然に北村を見かけた。道路を挟んだ向かい側だった。北村が角のビ…