2025-05-01から1ヶ月間の記事一覧

小説「僕が、剣道ですか? 3」

五 寝る場所については、きくと母が鋭く対立した。 母はリビングに布団を敷き、そこにきくとベビー籠に入ったききょうを寝かせると言ってきかなかった。きくは僕と同じ部屋に寝ると言い張った。 「こればかりは、お母上のお言葉でも受けられません。わたしは…

小説「僕が、剣道ですか? 3」

次回は、5月13日火曜日にアップの予定です。

小説「僕が、剣道ですか? 3」

四 月曜日は朝、採血があり、すぐにレントゲンが行われた。 午前中に女医の診断があり、健康そのものと太鼓判が押された。 看護師から退院の手続きの話があるので、母に来てもらうように言われた。 すぐに携帯から家に電話をした。向こうは結構大変なようだ…

小説「僕が、剣道ですか? 3」

三 二階のダイニングに上がると、母と父は怒っていた。 「病院から電話がかかってきたわよ」 母が険しい声で言った。 「すぐ戻るように、って」 「分かっている。それより、ききょうはどうしている」 「今は眠っているわ」 「あの子はどうしたんだ」と父が訊…

小説「僕が、剣道ですか? 3」

二 家に着いた。 カードキーで中に入った。 僕の部屋から大きな声と赤ん坊の泣き声が聞こえてきた。 僕は慌てて三階に上がった。 僕の部屋を開けると、母と父が僕を見た後、「京介」と言った。 きくが立ち上がり、僕に抱きついてきた。 まだびしょ濡れの着物…

小説「僕が、剣道ですか? 3」

次回は、5月8日木曜日にアップの予定です。

小説「僕が、剣道ですか? 3」

僕が、剣道ですか? 3 麻土 翔 僕は西日比谷高校の一年生。ある日、雷にうたれて過去に飛ぶ。そこで白鶴藩の家老の奥方を救い、その家老の屋敷で生活するようになる。世話係としてきくが選ばれ、きくとの間にききょうという女の子を授かる。 いろいろなこと…

小説「僕が、剣道ですか? 2」

四十 僕は大きくくしゃみをした。目を開ければ僕はベッドの上だった。 「京介、わかる」と言う母の声が聞こえた。そして、ナースコールのボタンを押した。 看護師が来て僕を診た。 「先生をお呼びしますからね」と看護師は言った。 ほどなく医師が来た。 僕…

小説「僕が、剣道ですか? 2」

三十九 次の日、堤邸に行った。 たえが門の掃き掃除をしていた。 「今日、鏡様が来られるような気がしていました。お躰の疲れはとれましたか」 「ええ、このとおり」 そう言うと、僕の手を取って指を絡ませてきた。 玄関から座敷に上がると、堤竜之介がやっ…

小説「僕が、剣道ですか? 2」

三十八 帰りも湯沢屋で一泊した。 「あーあ、いい湯だ」 中島と近藤は上機嫌だった。大任を果たした安堵感が滲み出ていた。 僕はひたすら疲れを癒やしていた。 風呂から上がり、夕餉を食べると、布団が敷かれる前に僕は眠ってしまった。それだけ疲れていたの…

小説「僕が、剣道ですか? 2」

三十七 朝食後、藩主に朝のお目通りをした。 「昨日はゆっくりと眠れたかな」 滝川は僕に向かって言った。 「はい、ゆっくりと休ませてもらいました」 「そうか、それは何より。体調は万全かな」 「ええ、調子はいいです」 「それは良かった。時間まで、ゆる…

小説「僕が、剣道ですか? 2」

三十六 その日の夕餉は、妙に滝川劍持の機嫌が良かった。 「いやー、あの二十人槍を氷室隆太郎以外の者が破るとは思ってもみなかった。珍しいものを見せてもらった」 滝川は酒を注いでもらっていた。 「こうなるとどうしても気になる」 氷室隆太郎の方を見て…

小説「僕が、剣道ですか? 2」

三十五 次の日はよく晴れていた。 僕はぐっすり眠れた。中島と近藤は、よくは眠れなかったようだ。 寝間着から着物に着替えた僕が「おはようございます」と元気に挨拶しても「おはよう」と返すのがやっとのようだった。 僕は朝餉をすっかり平らげ、中島と近…