2022-03-08から1日間の記事一覧

小説「僕が、剣道ですか? 5」

十二-2 火はすっかり鎮火した。さっきの母親が子どもを連れてやってきて、「本当にありがとうございました」と言った。僕が起きるのを待っていたのだろう。 僕は座ったまま「礼には及びません」とだけ言うのが精一杯だった。母親はきくにも礼を言った。 彼…

小説「僕が、剣道ですか? 5」

十二-1 朝餉の席で、風車と一緒に食べている時に、風車はきくを見て、「えっ、鏡京介殿の奥方ではないのですか」と味噌汁の椀を持ちながら驚いていた。「そうですよ、わたしは鏡様の妻ではありません」ときくは言った。「拙者はてっきりご夫婦かと思ってい…