2021-05-05から1日間の記事一覧

小説「真理の微笑 真理子編」

二十八 八月六日の日曜までは、特に何も変わるところがなかった。富岡の手にされていた拘束は日曜の午前中には外されていた。 月曜日の午後六時頃、病院に行くと、ナースステーションの看護師から、今週の水曜日に、今いるHCUから一般病室に移るという話…

小説「真理の微笑 真理子編」

二十七 翌朝、真理子は病院に寄った。いつものように富岡を見舞うためだった。 ナースステーションに行き名前を言うと、「ちょっとお待ちください」と言われた。 内線でどこかに連絡しているようだった。 しばらくしたら、上森医師がやってきた。その顔には…

小説「真理の微笑 真理子編」

二十六 金曜日の夕方、病院に行くと午後六時頃、主治医である中川医師の回診があった。数人の医師が後ろについてきていた。「富岡さんの二度の手術は上手くいき、経過も順調です。腎臓が悪いのが気にかかりますが、治療を続けていけば良くなるでしょう。ただ…